アラトリステ (2006)

文字数 683文字

【波乱万丈盛り沢山】 2009/8/14



滅多にお目にかかれない貴重なスペインシネマ。
それも時代劇(?)、主演ヴィーゴ・モーテンセンとくれば見逃す手はない。

イントロダクションによれば、剣一筋に生きた男の物語・・・ときた。
日本で言えば剣豪 柳生十兵衛のようなものかと想像していたものだ。
ある点では似ているのかもしれない。
ヴィーゴ演ずるアラトリステも十兵衛も剣に生き、極め、伝え授けた。
政治に翻弄されながらもストイックな彼らの生き方は決して軸振れることなかった。
もっとも、十兵衛が実在の人物であり、
アラトリステは小説の中のヒーローという大きな違いはあるのだが。

スペインでは現在進行形の人気小説シリーズが原作とも聞いているが、
本シネマではアラトリステの波乱万丈が早足で駆け抜ける。
数多くの登場人物を認識しづらいところはすっ飛ばしてもストーリーには影響がない。
陰謀、罠、窮地、絶体絶命、悪女、背信、などなど、
かの特定不明登場人物が織り成すエピーソードも多いが、
駆け足人生のアラトリステにはこれらエピソードがさほどのインパクト感がないのは、
シネマ構成上の不手際ではなく、それが彼の生き方だったからだと理解した。

つまり、
アラトリステは「剣で尽くすこと」が至上の生き方だった。
本当に尽くす相手は、スペインでもなく、国王でもなく、貴族でも、民衆でもなかった。
いつの時代も闘う戦士が尽くす相手は 闘う仲間、
「戦う同胞は皆平等」・・・彼の言葉が印象的だった。

老婆心:
当時を描いた巨匠たち(ベラスケス、ゴヤ?)の絵画を再現したようなシーンが散見される。
盛り沢山秘話の中、一服の清涼剤になる。
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