世界一キライなあなたに　（２０１６）

【わかり合える二人に、永遠の愛が】　2016/10/3



いつの日にか愛する二人を「死」が分かつことは自明の理だけど、
その時に心の底からわかり合えることができるのが本当の幸せだろう。
物語は四肢麻痺の青年実業家とその介護を一家の生活のため引き受けた女性の恋物語。
近年、この種の「介護」をテーマとしたシネマが多くなってきた。
その特徴的パータンが、お金持被介護者と貧乏介護人という構図だろう。
まさか、トリクルダウン効果を宣伝しているわけでもなかろうが、
トップに位置しない身としては複雑な思いがするものだ。

その点本シネマでは、介護者であるルイーザは微かな戸惑いを覚えながらも、
最初は金銭的理由を最優先する。
彼女の貧困に縛り付けられた生活、
発展することのない将来観を素早く感じ取る被介護者ウィル。

その一方では、事故前の人生を懐かしむことしかできないウィルに、
生きる本当の喜びを教えようとするルイーザ。

ウィルの事故、全身麻痺がなければ決して出逢うことのなかった二人が、
寄り添って近づいて発見したものとは？
大富豪のわがまま御曹司は本当の愛情を知る。
田舎娘は、介護を通じて広い愛と世界を知る。

エミリア・クラーク（ルイーザ）の不細工な表情と可憐なしぐさ、
えも言われないファッションセンスに魅了された。
サム・クラフリン（ウィル）の、文字どおり顔だけの男前演技も素晴らしい。

ミツバチ柄のハイソックスが、秋のパリを歩く・・・・泣けてきた。