ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気 (2015)

文字数 591文字

【正義を求めて】 2016/11/30



ジュリアン・ムーアがまたもや不治の病にかかる役柄だと知っていた。
ご自身がアカデミー主演女優を獲った「アリスのままで」のやり場のない悲しみを僕はまだ忘れ切れていない。
もう一つのテーマが女性同士の愛、レスビアンに正面から取り組んだことも事前情報として受け取っていた。

観ることに大きな迷いがあったが、そんな杞憂はさっぱりと無くなってしまうほどの爽快感が残るシネマだった。

事前情報の通りの展開だった前半から、ジュリアンが肺がんの進行で見る影もなく衰えていく後半の展開は力強い。
女性カップルの権利というよりも、主人公刑事の正義への貢献に報いるべき論の高まりがシネマを高揚させる。
主人公が常に訂正する・・・「私は同性婚を求めているのではない、欲しいのは平等だ」というくだりがある。

シネマでは事実に基づきながら、LGBTの論点を少しずらして、同僚警官はじめ一般市民や最後には行政委員(FREE HOLDER )に至るアメリカ人の良心を掘り起こしていく。
保守的なニュージャージーの小さな郡が、少しづつ変化していく。
正義を求める戦いに焦点をもっていった構成は、ジュリアンの壮絶な演技も相まって、崇高な物語に押し上げている。
そんな綺麗ごとの中で、スティーブ・カレラ演じる、ゲイの人権拡大リーダーの現実感が、少しだけLGBTの現状に気づかせてくれた、怪演だったけど。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み