ゴーン・ベイビー・ゴーン (2007)

文字数 577文字

【ベンは名監督】 2008/9/21



ミスティック・リバーの続編といわれても僕は信じただろう。
ストーリーのテイストは同じ原作者だから、似ていて当たり前。
ルヘインがボストンを舞台にした作品にこだわっているところからも、
テーマが人間の精神を突き詰めていく中で、その醜さ、傲慢さ、弱さを
さらけ出し、読者に問題提起するスタイルからも、
ミスティック・リバーを思い浮かべたのは至極当然だったのかもしれない。

ご存知のとおり、
《ミスティック・リバー》はクリントの監督集大成作品で、
それもオスカーつき、高い完成度だった。

方や、今作はベン・アフレック第一回監督作品。
2作品のギャップを感じないどころか、
同じように完成度に満足できたのは何故?

原作云々はひとまず横に置いておいて、
やはりベンの監督力を評価したい。

ミステリー作品の核としての謎解きの手堅さ、
ボストンの街並みを見る神の目のような愛着、
実際の街並みと住民を敢えて採用した現実への愛着、
このベンの情熱に応えた主役俳優人たちの意気、
すべてがうまい具合にかみ合ったものだ。

ケイシー・アフレックのひ弱さと傲慢さの演技も評価しなければいけない。
もともと、個性の強い俳優ではなかったが今回、まさに水を得た魚のよう。
自分の中の正義と、自己満足を達成する嫌味な探偵はここに再現されていた。

ベンの最高の功績は、ケイシーのプロモートだった。

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