消されたヘッドライン (2009)

文字数 745文字

【ペンよりも銃よりも強いもの】 2009/12/3



ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ここまででもうお腹一杯になる。
ところが、脇を固める曲者役者の数々、開けてびっくりの福袋シネマだ。
こんな安心感あふれるキャスティングの中で事件が展開していく。

その実態といえば:
無頼漢ジャーナリストが政治の闇に迫るプロットは陳腐といえばスーパー陳腐。
渦中の政治家が記者の親友だったりすると、もうなにおか言わんや・・・となる。
記者をサポートする上狙いの生意気な新人記者がちょいと可愛いのも既視感満々ていて定番。
お決まりのエキセントリック編集長も酸い甘いの判るプロとくれば、
このシネマ、もしかしてノーマル路線を標榜しながらもその裏側にとんでもない黙示が潜んでいるのか?
そんな想いがちらりと僕の胸をよぎる。

実際は、あれよあれよという間のスピーディーかつ複雑なストーリー展開に追いつくのが精一杯だった。
だからといって面妖な飛躍があるわけではなく大筋のプロットは最後しっかりと着地していた。
それでも、観終わった後の余韻が微弱なのが気になってしまった。

後知恵情報によれば本作はTVドラマの本編化とのことだとすれば、
もしかして、長いシリーズを一挙に短縮したものかもしれない。
あの駒落しのようにも感じたスピード感覚は、その辺に由来するのかな?
誤解無きように付け加えれば、このおかしな焦燥感は決して悪くない。

問題なのは畏れていた(?)隠された黙示だった。
このままノーマル路線を疾走すれば「ウォーターゲート」スキャンダルも超える、
ピュリッツアー賞ものだったのが、
土壇場で「お父さんのワイドショー講座」ネタになってしまう。
隠された黙示・・・「愛はペンよりも銃よりも強く愚かである」

確かに余韻はないわけだ。
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