2300年未来への旅 (1976)

文字数 649文字

【生き残るために】 1977/8/20



原題「LOGAN'S RUN」のほうがすっきりしていると思う。
邦題はすぐに忘れてしまった、「2001年宇宙の旅 (1968)」をもじった割には。
今年から当分の間、シネマはSFブームなのだという。「猿の惑星(1968)」以来、人類の未来を危ぶむテーマのハリウッドSFシネマにアメリカの良心を感じるが、本作もその系統だ。

SFが持つ無理・飛躍の荒唐無稽は影もなく、むしろ緻密な物語展開のなかに教えられるものが多かった。
想像に難くない完全管理社会の未来においても、人間にとって愛や自由こそ最も大切なことを、ストレートにではなく老人を介在して象徴的に知らしめる。
人類が永遠に発展する保証がないとすれば、未来の環境に順応するしか生き残る道はない。
それはコンピュータに管理される生活か、それとも文明の退化を受け入れても人間らしく生きる生活なのか?
間違いなく人類はこれらの壁に立ち向かう時を迎える。

LOGANが美しく生きることができるのはシネマの中だから、それも何十世代も後のお話だから、僕らは共鳴できるのだろう。
だが、ここにある問題はすべて今現在の地球人に問いかけられたものである。
教育の大切さを痛感する。

さて本作の見どころだが、主演のマイケル・ヨークがイングランドの香りを振りまいて颯爽としていた。敵役のリチャード・ジョーダンは近年売り出し中、これからの活躍に注目したい。
特撮、コスチュームが魅力的なのは上質SFシネマならではだった。
(記:1977年8月20日)
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