母性 (2022) 

文字数 580文字

【すべて過剰】 2022/11/24


湊かなえ原作は未読、というか「告白(2008)」以降のモノローグミステリーに満腹し、本作刊行時には僕の船は湊を出航していた。
今回、ご自分の遺作のようなコメントを番宣で拝見し、また戸田・永野さん主演との甘い誘惑もあって、もう一度湊に戻ることにした次第だ。

映像でも、しっかりと母と娘のモノローグが前面に突出するイントロに、またかと 鼻白んでしまったのは僕の哀しい過去がまた胸をよぎったからだろう。
しかしながらこれが湊ワールド、じっと我慢で続きを拝見した。

物語の大筋はタイトル「母性」だけに、どろどろした母娘の怨念と自己弁護理論が渦巻く。
母親に愛されたい娘、
母親に尽くす娘、
娘を愛せない母親、
娘しか愛さない母親、
最後にはそんな母娘が寛容の気持に打ち震え、すべてこの世は事もなしとなる。
ステレオタイプが過剰だった。
そんな母娘たちを演じるのは 戸田恵梨香、永野芽郁、大地真央、高畑淳子、みなさん 日頃より演技が過剰だった。
時の経過を表現するとはいえ、メイク・ヘアは過剰だった。
モノローグ(台詞もナレーション)が過剰、映像芸術のシネマとして致命的だった。
シーンひとつひとつも長い、加えてモノローグ別に反復される過剰な映像は顧客満足度を著しく下げた。

誰かが勇気を出して刈り取ってくれるとよかったのに、この過剰を。
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