星ガ丘ワンダーランド (2015)

文字数 551文字

【お母さん ごめんね、そしてありがとう】 2016/3/7



画像を意図的に異色にしている。
思い切りズームにしてみたり、揺らせてみたり、眩しくさせていた。
本作のテーマである、過去への執着をメタファーする幼い時の残像が
現在に差し込まれたりもする。
これらの作用で、シネマ全体の印象がファンタジックになっていた。

物語は主人公(中村倫也 好演)が小さい時に別れた母親の死が巻き起こす
小さな過疎の街の小さなさざ波を描く。
とてもシネマの素材にはならないような日常が続いていくなかで、
母の死の真相に近づく主人公。
後半に多様な登場人物が錯綜することによって、
変哲もないスキャンダルがサスペンスに変容していく。
この終盤の畳みかけは見事だった。
サスペンスのカタルシスで涙することは稀だった。

キャスティングも本シネマの見所の一つだ。
杏さんの刑事キャスティングが最後に花開く仕掛けは爽やかだった。
共演者は豪華だ、1シーンでその存在感を示した俳優さんたちには敬意を表したい、
木村佳乃さん、松重豊さん。
若手の俳優さんたちの高集中度が気持ちよかった、新井さん、菅田さん、市原さん。

死んでしまった母親には、もう何も声をかけることはできない。
もう一度、会うことができるのならば、小さな声ででもしっかりと伝えたい
・・・「ごめんね、ありがとう」

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