グリーンブック (2018) 

文字数 891文字

【あなたもか! ヴィゴ】  2019/3/1



絶妙のタイミングで公開された本年度アカデミー作品賞シネマ、
ご祝儀鑑賞もあったろうが、
シネコンの大スクリーンを満席にするというだけの、
それなりのパワーいっぱいのシネマだった。

インテリ黒人と無教養白人の組み合わせは、
遥か昔「夜の大捜査線」以来のハリウッド定番コンテンツだろう。
今回はロシアでピアノを学んだエリートピアニスト と 
イタリア系マッチョマンの設定になっている。

ピアニストが南部州を巡るツアーに赴く、そのドライバー兼用心棒のイタリアン。
1962年にそんな無謀な旅を実行する黒人ピアニストの本当の目的は?
黒人嫌いのドライバーが2か月間の同行に耐えられるのか?
人種問題を含んだロードムーヴィ、面白くないわけもなかった。

昨年のアカデミー主演女優賞「スリー・ビルボード」からも、
今年の作品賞(本作)からも感じたのは、
アメリカの真の姿を理解するのはそうそう簡単ではないということだった。
ニュー・ヨーク、ロス・アンジェルス、ボストン、ホノルルだけがアメリカではない
…といってもいい。
南部、西部に住むアメリカ人の実情を知り、
そんな幅広い人種の混合のなかで生きることの心構えを知ることができる。

本シネマでは 黒人、イタリア系、ロシア系のマイノリティが物語を動かしていく。
黒人差別の南部白人社会に辟易したイタリアンが・・・
「ユダヤ人の方が好きだ」と呟く。
人種間の諍いは決してなくならないだろう、おそらく これからも。
そんなアメリカに実情をうかがい知るだけでも、本シネマはアカデミー賞に値するのだろう。

ところで ヴィゴ・モーテンセンにびっくりする。
予告編時点で、「彼は本当に ヴィゴか?」と不思議で仕方なかった。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、「イースタン・プロミス」で魅せてくれた 
研ぎ澄まされた人間凶器のような危うさは、今作ではみじんもない。
ユーモラスとも思えるでっぷりと太ったイタリアン用心棒シェイプに大変身している。

俳優業を極め本来の姿を醜くしてまでも役作りをするヴィゴ、
クリスチャン・ベイル、マシュー・マコノヒーの仲間になった、あなたも。
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