オルカ (1977)

文字数 564文字

【イタリアン ジョーズ】 1978/1/5


東宝東和50周年記念(配給)作品ということで、S.P.A.C (Scientific, Panic, Adventure, Cinema)ロマンというご祝儀熟語で話題を煽ったつもりだろうが、「ジョーズ」の柳の下2頭目を狙ったことは明らかだった。

鑑賞する僕も「ジョーズ」のイメージが頭から離れないが、シャチの「オルカ」が人間を超える叡智と感情を有する設定は「ジョーズ」と決定的に違っていた、そこには男(雄)同士の壮絶な復讐劇が展開される。

粗野な漁師(リチャ-ド・ハリス)がパニック、アドヴェンチャーを担いオルカとの戦いに取りつかれていくなか、
冷静な科学者(シャーロット・ランプリング)がオルカを分析解説する狂言回しを担い、観客が漁師に一体化してサスペンスの渦に巻き込まれる都度、サイエンスの場に引き戻してくれる。
このように製作総指揮のラウレンティスが正統派シネマの矜持が見せてくれたことで、僕は「ジョーズ」の物理的恐怖以上に、神秘的サスペンスに陶酔することができた。

オルカによる原始的復讐は何処まで許されるのか? その問いは、そのまま漁師(僕たち)の生き方に跳ね返ってくる。
牧師の言葉が印象に残った・・・人間はすべての生命に対して罪の意識を持たなければいけない。
(記:1978年1月5日)
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