シャイロックの子供たち  (2023) 

文字数 596文字

【孤軍奮闘の サダヲさん】 2023/2/22


池井戸潤原作シネマは、TVドラマで10回見なければいけないところ2時間で結末に至るメリットが大きいため、実のところ気軽に鑑賞できるジャンルとしてぼくの評価は決して悪くなかった、
職場組織の矛盾あれこれをテーマにして、最後の一発大逆転スタイルすら 慣れてくると心地よいものに勘違いするくらいになっていたのだが、今作は何か根本的に今までと違っていた。

舞台は銀行のさびれた支店、お金のために犯罪を犯すもの、かばうもの、追及するもの、操るものが跋扈する。
背景にあるのは銀行マン残虐物語ともいうべき、利益追求のための無理無体が描かれる、かっての半沢直樹の爽快さは影もない。
登場人物それぞれがお金に対するコンプレックスを持っているのは、至極当然と言えば当然なのだが、自分の仕事にプライドが持てない環境にいてお金に振り回される銀行マンという設定が哀しい。 詐欺には詐欺でやり返す、倍返し・・・という勇ましい言葉も所詮は仕事の誇りとの引き換えになるという教訓が残るだけだった。

主演の阿部サダオさんの老練さに、本シネマ全体が乗っかかっている危さが見ていて辛かった。
原作もシネマ作りもパワーが落ちてきている日本を痛感した。
老婆心:
冒頭の演劇シーンは無知な観客のためのものなのか?
タイトルを変えればいいだけだと思うが・・・
例えば「現ナマに職を張れ」とか。
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