エブリシング　（２０１７）

【《ヤングアダルト》　でしたね】　2017/8/7



いまどき珍しい初恋ストーリー。
それには悲しい理由（わけ）がある・・・と云うちょっぴり恐ろしい物語でもあった。

まずカップルの18歳になったばかりのガールは、生まれながらの免疫不全のため滅菌したお家の中でしか生きていけない。一方のボーイは父親のＤＶに悩む心優しい少年、ガールの隣に引っ越ししてくる。

隣同士でもガラス越しのメール交換しかできない恋物語最悪のシチュエイションが恐ろしい。
完全消毒すれば家の中で、離れた状態であれば、逢うことができる、二人はそうする。
この難病（ＳＣＩＤ　重度複合免疫不全症）の恐怖がボーイミーツガールの初々しさと相まって観る僕を閉塞状態に落とし込める。
そんななか、「せかちゅう」焼き直しのような死を覚悟した青春のラストページツアーがいっそう哀しみを強くする。

しかしながら、恐怖はこれだけではなかった。
シネマ後半に「愛」が引き起こす残酷な結末が待っている。

単純なヤングアダルトストーリーと油断していると、ヒッチコック擬きのスリリングな展開に足をすくわれる。
もっとも、この辺りもいかにもヤングアダルトらしく、淡泊に展開していくのが救いになった。

主演のお二人のヤングアダルト役者さんの今後の活躍を期待したい。