ローン・レンジャー (2013)

文字数 754文字

【ちょっと「変」、かなり「変」】 2013/8/4



とにかく「変」なのである。
ローンレンジャーが「ハイヨー シルバー」と雄たけびをあげ、
シルバーが後脚立ちになる、あのお約束ポーズが物語ラストでようやく再現される。
ところが、
トントがぴしりとローン・レンジャーを諭す・・・「それは2度とやるなよ!」

そうか、このシネマはローン・レンジャーではなくトントの物語、トントの方が偉いんだ。
(もっともジョニー・デップが偉いともいえるが)
トント以上にぶっ飛んでるのが馬のシルバーだ。
ローン・レンジャーを黄泉の国から連れ戻すのを決めたのはシルバーだから、
一番偉いのかもしれない。
この二人(一人と一匹)が遠い昔の牧歌的西部劇「ローン・レンジャー」を
超近代的エンタメ与太話に成り上げ笑いを誘う。
トントとシルバーが「ちょっと変」なのを中和するかのように、
ローンレンジャーはストイックに正義に邁進して、これまた笑わせてくれる。

本シネマ、実は年老いたトントが昔話を少年に聞かせる形式で進行する。
ローン・レンジャーは単なるフィクションなのか、
西部開拓伝説なのか、
それとも もしかして事実なのか?

先住民をホロコーストし、大陸間鉄道で物質文明を創り、そして正義は実効しないアメリカ。
「金」に背を向けて正義の味方を演じ続けるローン・レンジャーは
アメリカの見果てぬ良心なのだろうか。

シネマでは大勢が死んでいく、それぞれ意味のある死だろうけど。
先住民族、騎兵隊兵士、ならず者、保安官、そしてローン・レンジャー自身も蘇えった死者だ。
「変なのは、かなり」だった。

老婆心:
死者がヒーローはじめ、予想通りの「パイレーツ・・・・」のパターン踏襲ではあるが、
僕の記憶にあるTVドラマなんか足元にも及ばない上質な内容だった。
それとも僕も「変」に成長したのだろうか。

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