サイダーハウス・ルール (1999)

文字数 749文字

【マイケル・ケイン、老いてなお強し】 2007/2/7 



ジョン・アーヴィング原作、孤児院出身の若者の人生の旅立ちを描いた名作。
原作は有名なベストセラーそれも長尺物。
脚色を、そこで、アーヴィング自身が担当している(アカデミー脚色賞受賞)わけだが、
原作者の起用が成功したケースである。
原作者が手を入れてボロボロになるケースも多い事を考えると、
まずインフラ工事が手抜きでなかった事になる。

サイダーハウスとはりんご果樹園の季節労働者の宿舎、
サイダーはいわゆる発泡りんご酒、形の悪いりんごがつぶされてサイダーにされる。
シネマはこのサイダーハウスと出身孤児院を、青年の成長と挫折の象徴として描きながら、
泣きたいぐらい切ない思いを満ち溢れさせる。

時代は太平洋戦争末期、アメリカのアップカントリー風景
そして人物が美しくも悲しい色調で再現される。
この中で重要な役割をするのがマイケル・ケイン(アカデミ助演2回目を受賞)。
実は彼にはこのところよくよくお目にかかっている。
この1年間で《ラスト・マップ》、《バットマン・ビギンズ》、《奥様は魔女》、
《ウェザーマン》、《トゥモローワールド》など。
年老いた祖父のような役が多くなったが僕には
《鷲は舞い降りた 1976年》のドイツ軍特殊部隊隊長はじめ
サスペンスアクションのイメージが強い役者さんだった。
いまや人生の重みを表現できる一人者になったみたいだけど、
本シネマがその転機だったのかな。

彼は主人公孤児(トビー・マグアイアー)を実の息子以上に愛する孤児院の医師を、
なりふり構わずかなりかっこ悪く演じている。
愛するものを守る為には、法律さえも無視できる精神、
今も脈々と継承されるアメリカ開拓精神なのだろうか?
僕にも果たして同じことを子供たちにしてやれるだろうか・・と思い沈んだ。
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