ブラッド・ダイヤモンド (2006)

文字数 934文字

【複雑な絶望しか】 2007/4/8



アフリカに関する無関心、無知をあらためて反省します。
知ろうと努力しないことは、立派な罪です・・・・、
シネマに啓発された以上目覚めないといけないですね。
それにしても、
決して開き直るわけではありませんが、
どうしてこれほどにアフリカの情報が僕らには届かないのでしょうね?
フィクションである「ブラッド・ダイヤモンド」が、
エンターテイメントの形で僕に教えてくれたことは、
だからこそとても貴重でした。

そう・・・ダイヤモンドがコントロールされて貴重だと思わされているのとは反対に・・・。
嗜好品、贅沢品が大きな権力の元に管理されることは、国家の法律を紐解くまでもなく歴然たる事実です。
本シネマの題材となっているダイヤも国際的組織で価格、流通が管理されている概要は知っていましたが、
アフリカの人々の大きな犠牲があることには、思いが及んではいませんでした。
ほんとに反省しています。

世界のダイヤ供給の15%が内戦、ゲリラの武器購入の費用として売買されているという前提でシネマは動き出します。
ただただ、シネマは全編執拗に殺戮を描き続けます。
殺戮の担い手たちは、政府軍兵士、革命側ゲリラ、自警団、傭兵そして子供兵士と多様です。
殺人を強制される子供兵士がサブテーマに組み込まれた時点で、
アフリカの絶望は観客の身近な絶望になります。
白人アフリカーナ(デカプリオ)が、離れたくない故郷アフリカ大陸を去る決意をさせるのも
子供兵士の悲劇から見えてくる、父と子の絆、父の尊厳でした。
ストーリーはブラックアフリカーナの父息子に自らの人生を投影し委ねる、
無法のホワイトアフリカーナを対比させ、
複雑なアフリカをシンプルに説明してくれました。

ダイヤモンドを追う人間たち模様もシンプル、
常にダイヤモンドは死の匂いを放ち、死が付きまといます。
ゼウィック監督らしい、空から見える美しい壮大なアフリカンランドスケープと、
大地に倒れた目の前の血に染まる土、シンプルすぎる残酷さでした。

しかし、僕が受けとめたメーッセージは怒り、悲しみを超えた、複雑な絶望です。
想像してなかった、メッセージ色の強いシネマ、
TIA(THIS IS AFRICA)
が絶望を象徴とする言葉として記憶に残りそうです。

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