踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 (2012)

文字数 740文字

【夢の湾岸署よ永遠なれ】 2012/9/9



思ってたよりドライに完結した印象がある。
特にタイトル前のエピソード、「揚げ物屋」張り込みシーンは笑わせてくれ、
その実ラストランの哀しみが美味く醸し出されていた。
もう、僕は今後彼等に会えない、
この有り得ない警官たちの幻想を観ることも無いのだと実感した。
たまたま、夕方前に毎日再放送していた時期に失業したことがあり、
ほとんどのドラマを見てしまった思い入れもある。
The movieでのスケールアップ、官僚機構との軋轢にも、
はたまた真下、室井両脇役特別作品へのエネルギー拡散にも付き合った。

これらの背景から、冷静に最後の作品を評価できないのかもしれないが、
予想していたほど熱くなれなかったのは、本作の完熟度に不足があったのだろうか。
つまるところ、最終回大サービスで、ほとんどの役柄が顔見世している分、
ひとりの密度は当然薄まっている。
同様にストーリーもあれこれ取り込んだ結果、細部説明不足が多発している。

それでもしかしである、
これほど笑わせてくれた警察シネマシリーズは無かった。
大仰とはいえ警察官僚の不遜、未熟を世に知らしめてくれた功績は無視できない。
あのヒューストン宇宙センター司令室のような円卓に高級官僚が馬鹿面下げて、
アホな戯言を発するシーンは毎回庶民の溜飲を下げた。

本最終作でも、
「警察は市民の安全を守る最後の砦」だとか、
「組織内で生きていくには覚悟が必要」だとか
「警察機構刷新建白書」だとか
耳障りの良い言葉が飛び交っていた、この現実逃避の爽快感がたまらない。
お願いだから警察でだけは深刻な不祥事を起こさないで欲しいというのが
庶民の本音なのである。

僕が願い描く夢の警察組織がこれからは本当に幻となるのか
・・・娯楽とはいえちょっぴり寂しい。

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