ダーク・プレイス (2015)

文字数 580文字

【ダークな想いに浸れる贅沢】 2016/6/24



「ゴーンガール」の作者ギリアン・フリンを前面に出した予告編にいささか違和感を覚えつつも惹かれてしまった。
人生の皮肉な成り行きを扱っているのは「ゴーン・ガール」と同様だが、皮肉なままに捨て置かれ救済がなかった。
シネマは広く喧伝されているとおり、一家惨殺生き残り少女の28年後に巡ってきた真実解明の物語、ダーク満載だった。

「ゴーンガール」で見え隠れしていたアイロニカルな笑いは今作では全く感じ取ることもなかった。それは、シャーリーズ・セロンの人生を捨て去った虚無溢れる女性の生きざまの圧倒的演技のなせる業だった。
犯人は兄だと証言した8歳の時の主人公、しかし兄は今もなお自分は無実だという。
28年間、一家惨殺の遺児として好き勝手に生きてきた主人公、同じ時間を抗議の声もなく刑務所で過ごしてきた兄。
彼女への寄付資金が底をついた時点から人生の歯車が28年ぶりに動き出さす。
彼女に真相を問いただす殺人クラブの世話人(ニコラス・ホルト好演)、次々と明るみになる記憶、事実。

そこには「ゴーンガール」と同様 人生喪失への嘲笑があった。
真実が明らかになったとき、みんなが嘘をつき、みんなが不幸になったことだけが重くのしかかってきた。

それでも、28年間の空白を乗り越えて生き直そうとするシャーリーズ・セロンの笑顔が小さな救いになった。
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