燃えよ剣 (2020)

文字数 569文字

【司馬・原田 完璧のハーモニー】 2021/10/15



「関ケ原」では司馬・原田カップリングが司馬優勢のまま終わってしまったが、今回は明快な原田解釈もあってビッグなエンターテインメントに完成した。
なにより分かりやすいのは、岡田准一さん演じる土方歳三の生き様になんの疑いも挟まず終焉まで突っ走ったことであり、その中でも近藤勇、沖田総司、芹沢鴨、松平容保、徳川慶喜はじめ主だった登場人物を切り捨てることなく、愚直にも時代背景を駆け足とはいえ追いかけていったところに、シネマと原作の華麗なる融和をそこに見て感じた。
会津藩、仙台藩での戦いまできちんと押さえていたのは司馬原作への大きな敬意に他ならなかった。

激動の幕末は徳川時代の始まりとなった関ケ原の戦いと同等に日本の大きな歴史的ターニングポイントであるだけに、後者をただただ史実を赤裸々に描いた前シネマが娯楽性に乏しかったのに反して、本シネマは戦(いくさ)一筋に生きた主人公の生き様に近接し、彼の本音が顧客に伝わってくる、これこそはシネマの醍醐味であり、顧客満足度を最大にするものだ。

もしかして、この物語を陳腐なヒーローもの、と批判することもできる。
ただ、主人公とその仲間である新選組のDNAが現代人の急所・真髄をジワリと刺激してくるのも事実だ、
だから本シネマは上質の作品になった、僕にとっては。
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