ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出 (2015) 

文字数 659文字

【女王陛下 いつまでもお健やかに】 2016/6/8



エリザベス王女が1945年戦勝記念日の夜、
お忍びでロンドンで遊ばれたというのは伝説的な事実だ。
そのエピソードから生まれた名作「ローマの休日」、
世界はキュートなオードリー王女に夢中になったものだ。

今シネマはその伝説をリアルに復元してしまった。
戦勝記念日の記録フィルムから王女のアップに映ってシネマはスタートする。
いかにも再現ドラマですよという雰囲気が出来上がる。
ちょっとおてんばのマーガレット王女とともに護衛付きでリッツホテルに現れる二人の王女。
歴史の記録ではお二人は一晩このリッツで楽しく過ごされたことになっている
・・・(とシネマでは ジョージ6世が周りに厳命する)。

本シネマは、公の記録には無かったお二人のたった一夜の冒険物語だった。
紅茶一杯さえ自分で淹れることもできず、いつも付き添いがまとわりつき、
自由のない尼のような生活だと嘆く王女たち。
そんなお二人が、ヨーロッパ戦争勝利に沸くロンドンの喧騒にもみくちゃにされながらも、
その自由をいとおしむ姿が切なかった。
グレゴリー・ペックも来ているというクラブで踊りたいという楽屋落ちも愉快だった。

何も知らず娼婦を引き連れて兵舎パーティに乗り込む 危うすぎるマーガレット。
王室批判の兵士ジャックに惹かれていく、しかし間違いなく夢物語だと知っているエリザベス。

戦勝記念日の一晩の物語のため、
喜びの人々の波ではあるが、ほとんど日光のない暗いシーンが続く。
ラストショットは朝日に輝く若く聡明な希望に満ちた国家元首のアップだった。

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