クリムト (2006)

文字数 388文字

【満足して成仏】 2007/5/15



死に至るコーマに観る映像が本シネマのようなものであれば僕は満足して成仏できる。

日常の眠りに、しばしば登場する無彩色の焦燥感のみ大きく占有する夢は、ただ己の体力回復、更なる生き残り願望に必要な休養に伴う副作用だと我慢していれば、最終章でクリムトが彷徨った官能地図に人は浸れるのだろうか?
19世紀末、モダニズムムーブメントのリーダーはかくも闘争的で奔放だった。
灯りに群がる蛾のごとくクリムトにひきつけられる女性たち、世紀末の頽廃と新世紀への根拠なき憧れが全裸の美女たち、舞い上がる金箔に象徴されていた。

たとえ梅毒による末期にあろうと、愛するもの影もなき病床であろうと、彼はひとりで意識を閉じ命を消した。
人生の走馬灯にともる輝きがどれほど後悔のないものか?
本人にすら計り知ることなどできない。

幸いなるかな、クリムトの夢は脈々と今に継承されている。
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