スーパーマン (1978) 

文字数 876文字

【ヒーローは人間らしいほうがいい】 1979/7/18



帝国ホテルでお子様ランチ(もしあればだが)を食べたみたいだと、
文句を言ってみても、これは見当違いの・・・いやもしかしたら、
やっかみ半分の言い草になってしまう。

実に贅沢なスーパーマンなのだ。
自分たちの夢であるスーパーヒーローを大切にしてきたアメリカの精神、
そしていま大型スクリーンにヒーローをよみがえらせたアメリカの情熱には感心するばかり、
賞賛を贈るばかりである。
思えばスーパーマンの歴史はこの国の年齢から比べると、ずいぶんと長い。
それだけにアメリカ人の想いの深さは、われわれ日本人には想像できないところだ。
皮肉にも「君は本当のスーパーマンのことを知らない」という広告コピーは
日本人にとって真実なのである。
裏返せば、われわれはもはや素直にスーパーマンに感動するほど純粋でもなく、
アメリカンウェイの情熱をスクリーンに感じる前に違和感を覚えるのである。
他人の宝物を見せてもらって、素晴らしいものらしいと思うものの、
その理由に思い至らず、
よくよく考えればその宝物そのものの知識がなかったり、
興味がなかったことに気づいた気分である。

本当のスーパーマンを知るための贅沢がいっぱいである。

マーロン・ブランド、ジーン・ハックマン、グレンフォードを配する一方で、
選ばれ抜いたスーパーマン俳優として、クリストファー・リーブスが初見参、
もはやスターの地位を確保している。
ビデオ技術やコンピュータの利用を考えれば、
もっと画期的な「飛ぶシーン」を期待していたが、これは不発。
ただ、スーパーマンがピーターパン風にも飛んで空中デートするとは、
嬉しい発見だった。

本当のスーパーマンは、人間くさいヒーローだった。
猫を助けるくせに、恋人を助けられないヒーロー。
ピンチの時もなんと女性の助けで切り抜けるヒーロー。
アメリカが生み、アメリカとともに成長してきたヒーローは、
ス-パーマンに限らす、皆あまりにも人間的だ。

その健全さが物足りないと感じるとしても、
1930年代のコミックから生まれた元祖アメリカンヒーローを
素直に楽しまない方はない。

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