グッドモーニングショー (2016)

文字数 716文字

【開き直って、低俗の極み】 2016/10/9



フジテレビ発のシネマなのに、いや だからこそ、ここまで自虐的に開き直れるのだろう。
本シネマでは視聴率最優先の朝のワイドショー制作に関わる人間模様が克明に描かれる。

その目玉は、
番組メインキャスター(中井貴一)が人質立てこもり犯にご指名される騒動の顛末だ。
このキャスターに今のテレビ界の問題を一切投げかけてみせ、
笑いの中に問題点を炙り出してみせる。
番組不振による降板、共演キャスターとの不倫疑惑、出身元の報道部門との縄張り争い。
なかでも、朝のワイドショー制作の裏側を惜しげもなくさらけ出してみせてくれた、
さすがフジテレビパワーだった。

「ワイドショーにも意地がある」として前代未聞の人質交渉を生中継する
(もっとも警察がそれを阻止しない理由づけもあるのだけど)。
いわゆる報道規制などという観念は、このワイドショークルーには欠片もない。
今どきとしては志立派なジャーナリストたちばかりだった。
僕はテレビを含めたメディアは常に権力を批判し続ける使命があると信じてきている。
しかし、現実は独自取材どころか報道の自主規制という形で、
自分たちの組織安泰を第一目的にしている。

ワイドショーを含めたテレビ番組が刺激的でないのは、
この対決姿勢を失ったからだ・・・と本シネマは小さく呟く。
これはテレビ界からの反省でもあり、変則的開き直りでもある。
放送されて一瞬で消えていくバラエティ情報、
それでもそこから何かが生まれるかもしれない・・・そんな偉そうな言い訳も虚しい。
まして、視聴者を低知能扱いをする制作管理者の傲岸は低俗の証しだった。

グッドモーニングショーチームは、そしてテレビ界は相変わらず進歩しないんだろうな。

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