SCOOP! (2016)

文字数 532文字

【お見事! アンチヒーロー】 2016/10/2



福山さんのためのシネマだろう…と言う偏見はシネマ冒頭で吹っ飛んでしまった。
中年パパラッチと馬鹿にされながらも、
自分の好きな道に執着する「中年の意地」を福山さんが体現していたから。
どちらかというと、だらしない体形に趣味の悪い洋服、
無精ひげの顔色悪いアンチヒーローがそこに息づいていた。

共演人たちがそれぞれの特性を発揮していたのは演出の丁寧さなのだろう。
リリ・フランキーさんの異常人格者は近年まれな出来。
二階堂ふみさんがアンチヒーローに取り込まれる様子は微笑ましい。
吉田羊さんの大人の女、最近どこのシネマにも出現しているが、今作の存在感は大きい。
滝藤賢一さんの嫌われ者変身は美味しい役だが様になっていた。

物語はというと、写真週刊誌生き残りをかけたスクープに己をかける
男・女たちの充実感が眩しい。
ちょうど、週刊文春のすっぱ抜き報道が今年の話題になっているのも好タイミングだったのか。
ロバート・キャパに憧れてカメラマンになったものの事件カメラマンに執着する主人公。
人は皆、出世、保身、名誉にこだわって年を取るのに
自分の本能の命ずるままにパパラッチする姿が羨ましい。

ちょっとピンボケの遺作の中に、美しい寝姿が一枚・・・哀しい。

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