サージェント・ペッパー ぼくの友だち (2004)

文字数 700文字

【夢とファンタジー】 2007/11/6



一風代わった少年、虎のぬいぐるみで生活するんだから、確かにちょいと変わっている。
この少年は、ペッパーという犬と会話ができる・・・。
こういうイントロダクションだと動物擬人感動シネマを期待してしまっても仕方ないところ。
当然いい年の僕が手にする作品でもなく、お子様向けに違いない。

実はそうではない。
奇妙なのだ。登場する人間たちが奇妙なのだ。
風景も、アングルも、色も、感覚としての匂いも奇妙なんだな。
「少年と犬 vs 悪い大人」の構造もひねりも回転もない初級難易度。
今の幼児たちですら、退屈しそうなんだけど、どこか奇妙なんだな。

もしかして!!
このシネマ「犬のためのシネマ」なのだろうか?
少年は犬の言葉がわかるいい奴なんだ(犬がしゃべるわけじゃなくて)。
奇妙に見える人間たちは、犬を理解しないヘンテコリンの敵どもだ。
そう考えれば、奇妙さすべてもろもろも説明がつきそうだ、
納得・・・・・と思った。

そう思ったら、とても、余計に哀しくなった。
このシネマは、寝たきりになった愛犬と一緒に観ようと思ってレンタルした。
その日に彼は逝ってしまった、
15歳だったから悔いのない命だったのかもしれない。
本当の彼の気持ちはわからない、僕は犬の言葉がわからないから。

もし、一緒にこのシネマを観れたら彼は満足してくれたかな?
ペッパーのような犬の生き方もあるってことを知ったら、
僕らに尽くすことしかできなった自分の一生に疑問を感じたかもね。
いや、彼だってこれがシネマだというぐらいはわかったはず、
そう、
犬のシネマにも、夢とファンタジーがいっぱいだった。

《愛犬にして家族だった亡きゴルビーに捧げる》
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