ラブレス (2017)

文字数 565文字

【愛なき世界】 2018/4/12



ロシアの現実、庶民のそしてブルジョアの日常が見て取れるのは、僕には新鮮だった。
つまるところ日本と同じなのではある。

メインテーマは「愛なき結婚」から逃れようとする母親、そもそも結婚には向いていそうもない父親、そんな両親の子供(12歳の少年)が行方不明になってからの周辺社会の動きのいろいろだった。
たった一人の子供を捜索するためにボランティア組織があることに驚いた。
日本だと地元消防団の捜索となるところ、専門的な捜索隊がボランティアで組織されるという。
この捜索隊の活動がきめ細かく描かれていく、近所の聞き込み、森のなか廃ビルのチェック、捜索願のビラ貼り、最後には、病院、モルグまで手を伸ばす。
彼らボランティア組織は、ラブレスとは全く逆に愛と使命に溢れていた。

それに比べて、少年の両親の互いの憎悪、自分勝手な思い込みが「ラブレス」、
そして「ラブレス」から逃れたはずの彼らは本当に愛の世界を手に入れたのだろうか?

シネマは、ウクライナとの戦争の被害を淡々と報じるTVコメントに背を向ける二人(元夫婦)で終わる。
冒頭の冬の小川、エンディングの同じ場所のシーン…しかし一カ所だけ違った光景があった。
おそらくそんなことは両親も友達も誰も知らない、少年のことなんてもう忘れてしまっただろう。
現実は愛なき世界なのか。
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