しあわせの隠れ場所 (2009)

文字数 797文字

【怒りをもって行動しろ】 2010/8/13



米国現政権政治哲学基盤の重要なひとつである【「格差原理」に基づく平等主義】。
正義の在り方を解説した最近のベストセラー「Justice What's the Right thing to Do」
にも取り上げられているが、
その理念を絵にするとこうなるのだろうか?

それも実際の話であることをエンディングロールで強調することしきり。
わかりました・・・アメリカはまだまだ大丈夫ですね。
社会制度の欠陥を、生まれたときの境遇(人種、資産とか)や、
教育機会格差の不公平に委ねることなく容認しない。
行政、法律の不備を嘆くことなく、格差にどう対処するかが重要なのだ
・・・・ってことでいいのでしたかジョン・ロールズさん?

僕自身は世界的規模での「富の分配の偏り」を直していくことが重要だと考えているが、
これはいかにも漠然とした夢論。
その点サンドラ・ブロック演じるリベラルな実業家奥方には
現実を見据えた実行力が伴っていた。

黒人で、保護者がいなくて、住む場所も無いのはその子供の責任ではない
・・・ここまでは誰でもそう思う。
その救済システムが無い行政が悪い
・・・やはりかなり多数の常識人も同意する。
でも自分にできることは無い、仕方が無いけど可哀想
・・・だいたいこんな結論で不公平を放置してしまう。

いったい人は他人の不公平に怒りを覚えるものか?
まして他人の不公平に普通の市民が行動を起こせるだろうか?

このシネマは《怒りをもって行動しろ》といっている。
主人公の一家は理想的戦う平等主義者たちだ。
フィクションだとしてもこんなに気分が清清しくなるシネマも稀有なのに、
まして正義を実行している実在の人たちがいることに勇気がわいてくる。

貧しい優秀な子供たちに教育機会を提供する私的組織が日本にも数多くあった、
かっての話だが。
アメリカを手本にしなければならなくなったのはすこし残念だ。

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