ブラックハット (2015)

文字数 732文字

【マイケル・マンの長舌】 2015/5/11



シネマ展開と映像における長舌が楽しめると、ツボに嵌まるのがマイケル・マン作品だ。
今作では、「ラストコーション」で衝撃のデビューを果たしたタン・ウェイと「マイティ・ソー」まんまのクリス・ヘムズワースお二人の愛について長く語ってくれる。

とはいっても、シネマのモチーフは「ハッカー」、「サイバーテロ」であり、本来スピード感が身上であるものなのに、相変わらずの長舌だった。
冒頭の「原発」爆破テロにおけるハッキング過程を映像で表現したところから説明過多になってしまった。
監督自身がお好きなんだろ、ハッキングの細かな経緯を生々しく見せてくれるが、僕には「ここは長舌を無視するところ」という信号になってしまう。

物語は実は面白い。
原発テロ(こんなテロも可能だとすると原発はやはり不要だ)や、先物取引システム乗っ取りの犯人を追求する米・中の情報機関共同捜査なんて設定が先ずはうれしい。
そこに協力させられるのが、中国情報戦担当将校とMITで親友だったという(お馴染みのご都合主義)今は刑に服しているマイティーハッカー君。
原発はじめシネマの舞台はアジアであり、香港、マカオ、マレーシア、インドネシアでの壮絶なアクションには、生白いハッカーでは務まらない。
ハッキング・マイティ・ソーはなかなかの見ものだった。
中国を代表するタン・ウェイとワン・リーホーは一変して「香港クライムシネマ」パートを担当してくれる。熱い兄妹想い、仲間に対する仁義、二人ともに裏社会のいかにも暗いイメージを醸し出していた。
迫真の銃撃戦あり、カンフー対決あり、権力への意趣晴らしあり、涙あり、愛あり・・・のハッカー物語。

これだけを全部盛り込んだら、そりゃあ、長舌になります。
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