桐島、部活やめるってよ (2012)

文字数 921文字

【シネマ自虐的センスのさわやかさ】 2013/7/7



日本アカデミー賞36回の作品賞受賞作は意図せずに結果としてほとんど見ている。
僕のシネマ鑑賞の立ち位置が、
ミーハー的興味でシネマを選ぶことが基本であることから推察すれば、
この日本アカデミー賞選考対象も一般的には
単館シネマ(名画座系統シネマ)とは遠く離れていたのかもしれない。

それでも観逃したり、後追いで観る意欲のなかった作品賞シネマがあるが
・・・・これまであまり気にしたこともない。
実は、この「桐島・・・・」も見逃してしまいそうだった。

話はどんどん逸れていくが、デジタルネットワークのおかげで本シネマのような、
劇場公開後の話題作鑑賞がとてもラクチンになった。
具体的に言えば「CATVのオンディマンドサービス」のことだ。
観たい公開作品がない時、レンタルの手続きも面倒だし、
手持ちのビデオ再鑑賞も億劫な時このオンディマンド配信は便利だ
(文字通り思った時に観ることができる)。
もちろん、作品ストックが今まではネックであったし、
現在も4万タイトルくらいではまだまだ満足できる体制ではない。
しかし、繰り返しになるが単館上映で話題になったシネマを
オンディマンドではしっかりとカバーしている、まさに有難い。

で、ようやく各種条件が整って第36回日本アカデミー賞作品賞を観させていただいた。
番宣にある通り
「桐島という高校の人気生徒が部活をやめるという噂に翻弄される学友のおはなし」のみ、
シンプルテーマである。
シンプルたる所以は、僕の高校生活時代からは45年の隔たりがあるにもかかわらず、
登場人物の心の葛藤がよくわかることだった。
高校生の部活への想いが全編を貫いていた。
バレー部、バドミントン部、バスケットボール部、野球部など体育系部活の
それぞれの希望と悩み。
対極的に、映画部を徹底的にオタクとして扱いながら、
キラリと部活の本質をのぞかせて見せる自虐的センスのさわやかさが際立っていた。

あまり見たことのない編集方法(撮影方法込)は若干くどさも感じられたが、
揺れる高校生の気持ちを表現することに成功していた。
そう考えれば、小品ながらも編集賞、監督賞は妥当だし、
作品賞も日本テレビムービーだから、この際ありかな。

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