スター・トレック イントゥ・ダークネス (2013)

文字数 731文字

【あぁ、面倒くさい人間模様】 2013/8/18



敵役(かたきやく)が魅力的だと正義は際立つものである。
この法則は現実の世でも、シネマの世界でも事実である。

300年もの時を超えて復活した超人類戦士「カーン」が一手にこの魅力ある悪を演じる。
彼に比べれば戦闘症候群の某提督など渋谷のニイちゃんネイちゃんほどにも個性的でもない。
前作から(ちょっと間が空きすぎた嫌いがあるが)お馴染みの登場人物が当たり前に相変わらずであることの大切さをこの敵役が際立たせていた。
うまい構成、演出だった。
逆説的だが、カーンの超人ぶりが USSエンタープライス乗員の人間性を思い出させてくれる。
副長、主任パイロット、機関長、ナビゲーター、通信士官、船医などなど地球の英知の結晶ような彼らがカーンに歯が立たない。
なんだ彼らとて普通の人間なんだ・・・って。
うまい構成、演出だった。
シネマは期待通りのスペースオペラ・パーフォーマンス満載で大いにその筋のファンも楽しめる。
文字通りスペースを突っ走るカーンとカークの無茶苦茶アクションは科学技術などどこ吹く風の、勘に頼る冒険アクションに退化発展している。
ディーテイルになるが、二人がハッチから突入して格納庫の長い道を着地するシークエンスは新鮮な感動を覚えた。 うまい構成、演出だった。

極めつけは、「浪花節」人間ドラマ。
本来のエンタープライズの役目である文明・生命の調査探索のベースとなる人間性がこの未来SFの胆となっていた。
既知の艦長と提督の信頼、艦長と副長の友情、副長と通信士官の愛情、提督父娘の愛憎に加えて、敵役カーンの切ないほどの仲間意識が語られる。

あぁ、やっぱりスタートレックってやつは面倒くさい人間模様ドラマだったことを痛切に思い返している。
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