ここは退屈迎えに来て (2018) 

文字数 690文字

【老成には早すぎる】 2018/10/27



宣伝コピー通りの群像シネマ、2004年から2013年まで、
高校生から9年間を行き来する物語。
大勢の俳優さんたちがその9年間を演じきるところが第一のお見事だった。

「退屈」の核は「東京に行くか行かないか」というところ、
つまり、田舎でくすぶってしまうより東京でいいことがないか試したいという平和な悩み。
原作通り、富山県の田舎で撮影しているので、この憂鬱感が第二のお見事だった。

僕自身を振り返ってみると、
同じように田舎から東京に出てきてそのまま戻らない今である。
田舎で過ごした時間より多くの時間が、すでにその後過ぎ去ってしまった。
確たる目的もなく東京を目指す愚かさは身に染みて共感できる、
これが第三のお見事だった。

しかしである、
東京での挫折、東京に行かなかった後悔を悩むのはあまりにも早すぎる、
まだ20代後半で結論は出せない。
どこに拠点を持とうが、自分の成りたい者になる努力をすることが大切。
失敗すれば別の成りたいものを目指す、
もしかしてもう一度東京に戻るのも、初上京するのもいい。
なんでもかんでも田舎生活のせいにして愚痴ること、
そんなことは目いっぱい年を取ってからで遅くない。

シネマに再現される田舎風景が僕を圧倒する。
それは日本のどこの田舎も象徴するような趣があった。
高校生活が地味なこと、
遊ぶ場所が少ないこと、
田舎では車がないと生活できないこと、
ファミレスが社交の場であること、
仕事はアルバイト、パートが圧倒的に多いこと、

地方創生政策は何もう創り出してしていないこと。

この閉塞感覚は耐えがたいものなんだろうな、
だったらさっさと動くことだな。
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