Pearl パール (2023)

文字数 624文字

【A24から目が離せない】 2023/7/7


A24(シネマ製作配給)の快進撃が止まらない。
2023年だけでも「エヴエヴ」、「ホエール」のアカデミー組に度肝を抜かされたところだったが、純粋培養ホラーもあることを本作が証明する。

監督・脚本のタイ・ウェスト、主演のミア・ゴスをこれから覚えておこう、すっかり忘れていた「新進気鋭」という言葉がお二人には似合う。

シネマはサイコキラーに目覚め全力疾走する新婚妻パールのお話。
時代は1918年 第一次大戦で新婚の夫は戦地に、寝たきりの父と厳格な母のドイツ系アメリカ人一家、小さな農場で最底辺の暮らしをしているが、映画スターになりたいという夢だけにすがる主人公パール。
パールが一日一日サイコキラーに孵化していく過程を心憎いばかりの泡沫エピソードを積み重ねていく中でシネマが追う。 父親の介護、映写技師との浮気、夫の家族との違和感、慰問ダンサーオーディション、そしてなんといっても母親への憎悪。
飼っている動物との優しそうな会話の裏側に秘められた殺意が本物の人殺しに代わる瞬間から、ぼくはパールに引き縛られる。

承服できない運命を覆そうという勝目無い挑戦と敗北、決して止むことのない殺意、憎悪。
もしかして ぼくの心の奥底にもパールがいるのかも?
1918年 ヨーロッパで無残な死を迎える大勢の若者、銃後の田園で血に飢えるパール。
美しくも懐かしい古き良きアメリカの風景が殺戮シーンと不思議とマッチしていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み