The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ (2017)

文字数 764文字

【オーラ・リー 歌うエル・ファニング】 2018/2/23



リメイクに40年以上が必要だった作品、ソフィア監督の生まれた年に前作は製作されている。
といって前作があまりにも上出来だったから・・とは思えないのだけど。
前作はドン・シーゲルとイーストウッドのコンビ、
無敵のハリーフィーバーの直前だったが、
タフガイのイーストウッドが女性に翻弄される物語は怖かったものだ。

それから世の中はフェミニズムが力を増し、
差別的表現は自主規制されることになりハリウッドもリメイクに二の足を踏んだ
…まぁ勝手な解釈であるが。
本シネマは、まるで違った視点から、そして美しい体裁で帰ってきた。

ソフィア・コッポラ監督は言わずと知れたフェミニストの旗手、
キャスティングには新旧の美女を揃えている。
ニコール・キッドマンが怖い園長先生、
キルステン・ダンストが優柔不断な教師、
そして色っぽい女生徒にエル・ファニング。
僕は、クリント信者だけど今作はこのお三人を見るだけで満足した、
前作との比較など内容は別に気にしなかった。

・・・というのはデタラメだが、シネマを観る側のポイントは前作と逆転していた。
三世代の美女たちがどのように北軍の兵士を取り扱うのか?
そこに北軍兵士の傲慢と恐怖と絶望はなかった。

ヤンキー伍長を演じたコリン・ファレルは、
したがって常に謙虚で卑屈なほどの移民を好演している。
南部の上流階級への屈折した思いがあるものの、
リンカーンへの忠節も愛国心もない兵士がそこにいた。
そんな男、たとえ女性の園の迷いこんだ珍しい雄であろうと、彼は異物でしかなかった。

その異物にすがる者、弄ぶ者、敵視する者、最後には排除する者たち。
ソフィア・コッポラの息づかいが感じられた。

お気に入りのエル・ファニングが美しい南部の夕暮れのポーチで歌う
「オーラ・リー」、これは大きな付録だった。
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