台風家族 (2019)

文字数 469文字

【いつか見た風景】 2019/9/18



タイトルもどこぞやの映画祭で有名になったものに近い、
最低ゲス家族が実は・・・・・・という展開に至っては、近年のブームにもなっている。

それでも本シネマが魅力的だったのはラストシークエンスの解脱境地のなせる効果に違いない。
遺産相続をめぐる家族の争いに見える現代の経済格差、超老齢化問題、詐欺犯罪の跋扈、労働環境の悪化、それらはもはや僕のなかでは常識化するほどの無痛の災難としか感じられない。
シネマはその痛みを抉り出して、さらけ出してくれる。

家族を守るためには、ゲス野郎に徹しなければ生きていけない日本がおかしい。
そんな家族が素晴らしいと称えることはもっとおかしい。
でも、おかしいと思っても、変える方法がないとあきらめる。

責任は自分たちの努力不足、運の悪さだと勘違いする。
こんな時代だからこそ、政治が手を差し伸べるべきだとは思いつかない。

底辺ではいつくばって生きるゲス家族に舞い込んでくるいっときの幸せと高揚感。
奇跡がなければ幸せになれない時代なんか認めたくない。
そんなアイロニカルな家族万歳シネマだった。
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