レスラー (2008)

文字数 628文字

【24時間働けますか ジャパニーズビジネスマン】 2010/1/17



ミッキー・ロークが初老プロレスラーを演じると聞いた。
恐らくは、ロッキー・バルボアとは異なる趣のスポコン物語だろうと予期していた。
まぁ、そのとおりだった、
高揚感の替わりに深い哀しみとちょっぴりの満足感が残った。

プロレス発祥の地アメリカのプロレス興行界が、
一方で赤裸々にしかもあっさりと暴かれる。
その業界では当たり前のことなのだろうが、
徹底的にショウ化された戦いはある意味芸術だ。
わが肉体を物理的に削ってその芸術を完成させるレスラーたちがいる。
そんな戦いの内実を知ってか知らずか、一時の興奮に酔いしれ興奮するファンがいる。

僕はそこに、商売の基本形をみた想いがした。
プロレスを愛してやまない男たち、
でも仕事に溺れ家庭を守ることができない男たち。
そんな虚構とも言えるショウアップされた戦いの中に癒しを感じる人々。

何のことはない、このレスラーたちは僕が知っているサラリーマンと同じだった。
高度成長時代、24時間働けますか?と聞かれ、 
WHY NOTと呟いたジャパニーズビジネスマン。
そしていま、
安らかなる老後であるはずが、まさか年金問題で足をすくわれるとは思いもしなかった。

でも、誰も本気で文句を言うわけでもない。
一生懸命仕事をしてきたものだ・・・と自らをなぐさめる。
いい時代に生きたものよと一人思い出にふける。

栄光のチャンピオン、伝説のレスラー《ランディ》の得意顔に
多くの友人の顔が重なっていた。

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