ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 (2009)

文字数 713文字

【愚直にストーリーを追う】 2010/7/24



いわずと知れた世界的ベストセラー小説の劇場シネマ化。
小説がスウェーデン(人口900万人)で290万部売れたとの情報は
いまだにどうしても信じがたい。
世界では800万部、その一部に僕もかかわっているが。

そんなスウェーデンの化け物ベストセラーをスウェーデンオリジナルで映像化した。
とてつもないプレッシャーがあったと想像するに難くない。
キャスティングしかり、ロケ地も大変だろうし、
セット、大道具、小道具すべてにファンが目を光らせたことだろう。

日本人で スウェーデンに行ったこともなく 
かの国の事情にも疎い僕としてはキャスト風景等々すべてOK 問題なし。
原作との乖離になる基準が何もないわけだからそれもそのはず、十分に堪能した。
気になっていたのは、スウェーデンの小説につきものの細やかな描写、
頻繁な関連叙述の処理だった。
実はこの発展的人間模様がスウェーデン小説の醍醐味だと思い込んでいるが、
こと映像化に直面すると、150分に収めるとするとまさにカオスに至る。

本シネマは153分とのことで決して短くはないが、
丸々ストーリーの本筋を愚直に追っている。
横軸、斜め軸の人間模様は見事にばっさりと削除されている。
削除されてはいるが、しかし改ざん、歪曲ではない。
そこに無いだけだった。

いつも懸念しているベストセラー原作の罠にはまっている。
それでも、
スウェーデンのミレニアムファンが満足する劇場サイズシネマは
結局この形がベストだろうと思う。
でも、世界のシネマファンにこの重厚なスウェーデンの社会構造が
少しでも伝わるものかどうか?
ミレニアムショックを経験した日本人の僕には、このヴァージョンで十分だったが。

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