エリザベス:ゴールデン・エイジ (2007) 

文字数 691文字

【ケイトを愛でる、エリザベスを愛でる】 2008/2/17



ケイト・ブランシェットを愛でる、エリザベス女王を愛でる
・・・その狭間に陶酔してしまった。
めったに起こらないことだけど、クールにシネマを愛する僕でも、
シネマで演じられた役柄に惚れこんでしまうことがある。
エリザベス女王が大好きになってしまった。
いやいや、ケイト演じるエリザベスが・・・というべきなのだろう。

シネマの総合印象は英国講談とでも言うか、
伝説の名君が織り成す波乱万丈の勧善懲悪ストーリー、
ちょいと黴臭い。
だけど、これは「器」の評価でしかない。

「器」に盛られた贅沢なシネマの悦楽、
女優の華を思いきり賞味しないと、
これはシネマファンとして勿体無いことになる。

ケイトのエリザベスに僕がみたのは:
自らの運命を受け入れる潔さ、
宗教・法律で国民を差別しない聡明さ、
忠実なる侍女に心を開くあどけなさ、
宰相に寄せる率直さ、
人民をあしらう尊大さの中に隠された優しさ、
未知なるもの、不可能なものに挑戦する勇敢さ、
恋心に憧れながら抑制するいじらしさ、
・・・・・とても語り尽くせそうもない。

こんなエリザベスの心の襞、その揺れる様を1本のシネマで
これほど満喫できる濃密さをほかに知らない。
それは、とりもなおさず、ケイト・ブランシェットの栄光でもある。

老練な宰相(ジェフリー・ラッシュ)も
憎いほどいい男の冒険家(クライブ・オーウェン)も、
エリザベスの添え物としてその影と光を封印している。
衣装、宮廷インテリアの美も、ただそれだけの話。

いま僕は、
女王の瞳に見た深い想いを、そっと自分の胸の中にしまいこんでいる。
きっと、エリザベス女王に恋したのだろう。

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