ラッキー・ユー (2007)

文字数 708文字

【小じゃれ具合が僕は堪らなく好きだ】 2007/12/12



アメリカン小じゃれシネマ、僕はこのジャンルと相性がいいようだ。

プロギャンブラーが主人公となれば、哀愁漂う男の世界をイメージしてしまうが、
本作は、父との奇妙な関係が縦軸、恋の行方が横軸に編みこまれた青春物語に仕上がっている。
エリック・バナとドリュー・バリモアの二人で、まさか青春でもないところだが、
たとえラスベガスの徒花、連戦練磨の仕事人とはいえ、大切な愛に目覚める状況を、
青春と表現しないわけにもいくまい。

ポーカーゲームに勝つには、観察と推理、
そしてボディランゲージを読み取ることだと恋人に教えるプロギャンブラー。
ところが、
チャンピオントーナメント、彼の勝負手を読み取ったのは師匠である父と、
なんとゲームのルールすら知らない、この恋人だった。
愛はさほどに強いもの!
このあたりの小じゃれ具合が僕は堪らなく好きだ。

そうそう、父親(ロバート・デュバル)の生き様もまた、粋だ。
息子をギャンブラーに育て上げて、自分はマイウェイの〈さすらいギャンブラー〉。
妻(母)に対する父息子の想い、ふたりの確執がストーリの中で明らかにされる。
彼らの互いを思いやる感情がじわじわと伝播してくるのが心地よかった、癒しだ。

本シネマには( As Oneself )で本物のギャンブラーが大勢出演している。
彼らが放つ緊張感と父と息子、男女の和み具合、その調和が気持ちいい。
シネマとして、簡単そうに思えて難しいゴール:「異常を普通に描く」が軽やかにゲットされた。

老婆心:
ポーカーのルールが不明の観客は、最初焦るかもしれないが、
途中で初心者オリエンテーションが用意されていて大丈夫、心憎い配慮だ。

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