ケイン号の叛乱 (1954) 

文字数 758文字

【名作には名原作有り】 2013/7/20



名作の原作を30年ぶりに再読したところ、やはりというかシネマも観たくなった。
シネマのほうはいつ観たものかも記憶がないが、
こちらも名作評価で有名だが60年前の作品。
DVDの再現性はいかに? 
物語展開スピードは今に耐えられるものなのか?
ボリューム満載の原作をどう脚色したのか?
などという心配は全くいらない。

画像の品質は現代の技術で見事に蘇えっているし、
大幅なエピソード削除でスピード感に不足はない。
肝心なメッセージである「アメリカ海軍に臆病な艦長はいない」ことも、
名優ボガードのおかげで無傷で(いくぶん加速されて)発信されていた。

艦長は度重なる戦闘の結果の発病であったことが慎重に、明確に描かれていた
・・・これは叛乱にあらずということである。
当然のことながら、海軍の全面協力で掃海艇の機能、艦内の様子が詳細解説される、
シネマならではの特典もしっかりと楽しめた。

やはり圧巻は、俳優たちの熱い演技だろう。
先に舞台劇で人気を博したこともあって出演者すべてが役を内面的に演じているのがわかる。
今となってはみな鬼籍に入っている方々なのでくどくどと称賛しても詮無いかもしれないが、
物語の主人公キース少尉役の(ニューフェース)ロバート・フランシスの悲劇が心に残る。
周りの重厚な男優たちに囲まれ、影が薄い印象であるが、
それでも重要な語り部を無難にこなしていた。
でも、その後全くシネマ界に登場していない。
1955年本シネマの翌年飛行機事故で亡くなっている、25歳だったそうだ。
ボガードは1955年のアカデミー主演男優賞にノミネートされたが、
役柄同様、怒れる若者のマーロン・ブランド(波止場)に敗れている。

ただ唯一の不具合は台風下のケイン号、
60年前の模型撮影が今や重要文化財ほどに心もとなかった。

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