ブリッジ・オブ・スパイ (2015)

文字数 528文字

【普通から不屈へ】 2016/1/8



昨年末はレジェンド・ヒーローのJ・ボンドやらハン・ソロやらロッキーなどが勢揃いして
賑やかだったが、
それぞれ幾分ヘビーな味付けだった、なんとも贅沢な不満ではあるが。
お正月明けのトップとして登場した本作は、
大宴会の後ちょっと粋な割烹で、洒落たおつまみで良いお酒を飲んだような気分にさせてくれる。

本シネマも、それでいて立派なヒーロー物語である。
保険業務専門の、有能なしかし普通の弁護士が冷たい戦争の真っただ中で
「不屈の男」になっていく過程に引きずり込まれてしまう。
しかも単なる歴史上の(1960年)ヒーローを描くだけで
済ませてしまうスティ-ヴン&トムのコンビではないことは今回も明らかにされる。

そこで主張されているのは、アメリカ合衆国市民の定義であり、
卑怯者にならない教訓であり、周到な未来予測であり、
交渉における胆の据え方であり、なによりも人間としての正義であった。

このあたりのメッセージを安直ということなかれ。
現在の世界のカオス、新しい戦前の恐怖を感じる時代において必要なことばかりであることに
僕ですら気づく。
人間の叡智、精神は計り知れないものがある。
普通の人間が「不屈の人間」に変身することを実感するに良いシネマだった。

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