唄う六人の女 (2023)

文字数 704文字

【既存エンターテイメントの枠を超えた 】 2023/10/30


タイトルにもなっている女六人の印象が薄く、二人の男臭さムンムンに終始、竹野内豊さん、山田孝之さん髭面の男二人が実質的にシネマを取り仕切っている。
物語の骨子はというと、亡き父の財産を処分する息子(竹野内)とその買手(山田)の争いの裏に隠された地球環境汚染陰謀、というポリティカル・テイストなのではあるが、六人の怪しい女がそこに介在してくる。

事故を装って女たちに森奥に幽閉される男二人、脱出できないままに真実に気付く男と全く自分の欲だけに生きる男、この二人の脱出を阻む女たち。
しかし、この女たちは異常に人間臭くないことが映像からすぐにわかる仕掛けだった。
六人の女は唄うわけでもないが、唄う以上に何かを訴える。
メタファーというほどのものではなく、とても分かりやすい例えとしての六人の唄だった。

今現在、クマとの共生が求められているにもかかわらず、クマの罪ばかりを追及する人間のエゴがあからさまになっている状態において、本シネマの先見性に素直に感服した。
理想形の男が言う・・・「人間が地球に生まれた理由がきっとある」それは、人間が滅亡した後でも、森の上空に吹く優しい風になることだとも言う。
そのとおり、地球は人間が独占するものではなく、まして戦争やCO²で環境を我が物顔で破壊することでもない。

シネマにできることなどたかがしれているかもしれない、でも本シネマが優しく教えてくれるすべての生き物への愛情はしっかりと伝わった。
石橋義正監督・脚本フィルムは初の体験、美しい映像とコンセプト、既存エンタテインメントの枠を大きく超えた名品だった。
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