ドローン・オブ・ウォー (2014)

文字数 733文字

【大きなお世話 GOOD KILL】 2015/10/2



毎朝、家族と朝食を済ませて勤め先へ、
そこで無人爆撃機を操ってタリバン兵士を3000メートルの高みから殺すお仕事です。
時間が来れば交代チームに任せて、仲間とラスベガスの喧騒に疲れをいやします・・・
GOOD KILL お疲れさんでした。

そんな任務に就いた元戦闘機パイロットの苦悩を描いています、
主人公を演じるイーサン・ホークの憔悴と崩壊が哀しい。
本シネマの設定は2010年、アフガニスタンでのタリバン狩りに威力を発揮していたプレディター搭乗員チームの物語です。
繰り返しますが、搭乗員チームは週末には家族ぐるみでバーベキューをしたり、
ラスベガスで遊ぶ普通のサラリーマンのような生活をしています。
無論そこには選んだ職業に対する葛藤が渦巻いていますが、生活のため折り合いをつけるしかありません。安全な密室に籠って文字どおり遊びながら殺人を遂行することはそれでも普通の神経では耐えられない業務です。
もともと戦闘機パイロットに復帰したい主人公にとって、今の仕事は戦闘とは考えられないのでした。
脅威を感じない戦闘に魅力を感じないのは、また別の意味で戦争の犠牲者なのかもしれません。

精神のバランスを亡くした主人公が、最後に縋りついたレイプ犯の暗殺は、彼の良心の最後の欠片のようなものでした。
3000メートルの空から、しかしながら、男女の真の感情を読み取れるものでしょうか?
あれはレイプではなく、日常の愛情表現だとしたら?
地上に降りることなく勝手な倫理で人を裁く主人公の姿は、
そのままアメリカの世界の警察の姿にダブって見えてしまいました。

戦争の形が大きく変わろうとしています。
しかし戦争で傷つくのは、コンピュータではなく人間です。
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