バンテージ・ポイント (2008)

文字数 683文字

【スピード満喫】 2008/8/24



いまや、古き言葉になってしまった感のある正統派「ジェットコースターシネマ」が満喫できた。正統派の証は、「息をつかせないスピード感」と「予想外という予想」の展開に尽きる。

とりわけ、スピード感においては近年まれに見る暴走、
そのキーワードは「繰り返し」。
エピソードが複数、それも唐突気味に挿入されるスタイルは前例がないわけでもなく、
むしろシネマ作法としてはオーソドックスかもしれないが、最初から観客を翻弄しようという意図の下に配られるこれらのエピソードは、そのスピード感に増幅されて、まさにジェットコースターのような甘い恐怖に満ちている。

そのエピソードの繋ぎ方がユニーク・・・と言うよりナチュラルなので、実はここで一息つける。
エピソードの終わりから次のエピソードへのつなぎが「巻き戻し」になっている。
この巻き戻し手法を堂々とシネマで採用するしたのは、本作の謎解きのツールになるビデオに通じるのだろうが、それと同時にシネマをビデオで楽しむファンへのシンパシーなのかと深読みする。

実際僕もDVDでの鑑賞だったし、その場合は、たまさかこの「巻き戻し機能」に頼ることもあるので親近感を感じてしまった。
ところで、こんなにも
ジェットコースター展開に魅了され大きな快楽に浸れるのだから、あまりその内容にまで文句は言わない方がいいのかもしれない。
シークレットサービスがスーパーすぎるとか、テロリストの出自が手抜きだとか、
そもそも有り得ないなどと非難してはいけないだろう。

久しぶりに、何も考える暇なく「逆さスピン連続大回転」を堪能した、
それで充分だった。
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