エンドロールのつづき (2021)

文字数 735文字

【シネマの力、インドの活力】 2023/1/25


久しぶりのインドシネマ、ざっとチェックした事前情報では「シネマ愛」がテーマだとのことで捨て置くわけにはいかない。
物語時代設定は2010年とのことだ、列車で隣町まで学校に通う少年に、教師がこの町を出ていくことと英語を学ぶことが人生の成功につながる と諭すシーンが、僕には理解できないインドの貧富格差をシンプルに教えてくれる。
この時期がフィルム映写からデータ映写への移行期であることは承知しているが、シネマへの憧れが少年の属する階級として屈辱だとか、お弁当と映写室からの覗き見の交換取引が13年前にまだ社会にへばりついていたことは信じられないと同じように、そのお弁当の中身の豪華なことと母親の料理実態の詳細説明が新鮮だったし美味しそうだったのが 現実的だった、面白い対比だ。
想像するだけであるが、当時インドはカオスの真っ只中にあったのだろうし、今そこから抜け出しているのだろう。
35㎜映写機器が廃棄処理されスプーンに、35㎜フィルムが同様に色鮮やかなバングルに生まれ変わるように、古いインドは今新しい血と才能に変換していることもSDGs実践メタファーという形で僕は理解した。

物語のベースは監督(パン・ナリン)の実体験であろうし、貧困と教育機会の悪循環を断ち切ったのが「映画愛」だというメッセージが、エンディングの長い長い歴代名監督への感謝のメッセージから読み取れるのだった。

さて、この後、スピルバーグ監督の自伝シネマも控えている。
子供時代にシネマが教えてくれたことは、なにも製作者側だけに限るものでもない。
フィルム映写に懐かしさと優しさと少しだけ猥雑さすら感じる、そっと古希を過ぎた自分を本シネマに投影してみた。
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