ザ・ディープ (1977)

文字数 530文字

【主役は海】 1977/8/17



このところ「シネマブーム」、特に夏場にたくさん新作が公開されるので選択がますます難しくなった。そんな中で作品を選ぶ、時とお金を無駄にしないためにも、ここは自分の感性が問われるところだ。

「ジョーズ(1975)」以来の恐怖、スリラー系統流行の中において、海の美しさと恐怖をモチーフとしたシネマを本作に期待した。海洋サスペンスという新しいジャンルを期待した。

海中から水面を見上げる、アンプルが揺れ上る、などフレッシュな海のカメラワークに素直に感動した反面、海中の難破船を行き来する登場人物のマスク越しの表情が不明なシーンが当然ながら長く続くため、どうしても緊張が途切れがちになる。
その空白を埋めてくれるのがジャクリーヌ・ビセットの美しさ、海洋サスペンスの華を十二分に果たしていた。
男優陣はというと、恋人役のニック・ノルティが節操のないビーチボーイまがいで性格付けが不十分だし、「ジョーズ」以来海洋作に縁強いロバート・ショーはゲストスターのような位置づけの没個性で、助演人の貧困さが際立っていた。

主役は海、
そう考えるとスキューバダイビングの人間などちっぽけな存在だと思わせる、
それでいて締りのない大作だった。
(記:1977年8月17日)
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