パリタクシー (2022)

文字数 647文字

【女性は強く人生は儚い】 2023/5/23


あり得ない出来事でもシネマだからこそ共有することができる、それがシネマがシネマである一番の理由だろう。
そんなあり得ない出来事で、心が安らかになったり、温かくなるのであれば、これまたありがたいものだ。 本シネマはそんな作品、近年頭でっかちの企画が流行りの中でシンプルに「いいお話」に終始する。

物語の大筋は、高齢のために介護施設に引っ越しするマドレーヌと、送り届けるタクシー運転手シャルルとの交流、一日かけた心のやり取りが見事だった。
経済的に精神的に仕事面でも追い詰めれれている46歳のシャルル、1945年シングルマザーとして、またDVに苦しんだ92歳のマドレーヌ。
問わず語りからマドレーヌの悲惨な人生を知ることになるシャルル、そこから自分の人生を生きる力が蘇る、再生の瞬間だった。

アメリカ兵との恋の思い出だけに生きてきたマドレーヌは実は・・・・・・。
介護施設に送り届けたもののタクシー料金を貰い忘れたシャルルが後日妻に合わせたいと同伴で施設を訪れると・・・・・。

一日フルタイムのタクシーサービスのシークエンスにマドレーヌの過去映像が挿入される、美しく勇敢な女闘士だったマドレーヌ。 女性の権利を謳い上げるテーマでありながら、人間の一生の儚さをも忘れることがない、やはりフレンチシネマの真骨頂だった。

仏題:美しい旅路 
英題:ドライビング マドレーヌ 
邦題:パリタクシー 
どれも素晴らしいが、パリの風景を昼夜見られるからパリタクシーの勝ちかな。
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