エリジウム (2013)

文字数 621文字

【こんなシネマ観たことない パート2】 2013/9/21



ニール・ブロムカンプとシャールト・コプリーがまたやってくれた。
二人は今度はハリウッドメジャーを手玉に取った。
このストーリーテリングの「滑らかさと複雑さの調和」をなんとするや!
「絶対悪の演技演出」をなんと受け取るか!
「こんなシネマ観たことない。パート2」になってしまった。

それにつけても、あぁ、マット・デイモンとジョディが可哀想だった。
二人の薄っぺらい人物像に比べて、
傭兵クルーガーの憎らしいほどの現実感に圧倒されてしまう。
一分のスキもない悪人像を見せてもらったのも久しぶりだな、けだし怪演である。

SFアクションでは必ず審査の対象となるSFXもブロムカンプ色をキープしつつ
確実に進歩している、まずはめでたし。
PCを武器として手元に持って戦うのがやけに生々しい、
こんなこだわりがフィクションには大切なのだが。
シャトルと荒廃したLAの街並みのショットは、
「あっ、第9区だっけ」なんて思いにさせてくれる。
これを、ハリウッド進出の「名刺代わり」として僕はしっかりと受け止めた。

このSF名作の基盤を形成する「富の不平等な配分」へのレジスタンス。
何のことはない、21世紀初頭の今僕らが経験している進行形の世界のことだ。
でも、それを修正するにヒーロは必要ない。
相手を思いやる心さえあればその糸口はつかめる。

エリジウムから見た地球も、地球から見たエリジウムも美しい、
その気持ちがすべてなのかもしれない。

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