火花 (2017)

文字数 445文字

【これなら 芥川賞】 2017/11/23



小さな切なさが繰り返し繰り返し僕に忍び込んでくる。
前代未聞の漫才、その通りに僕は涙する…漫才で泣くなんて。

神谷先輩の人間臭さが等身大に迫ってくる、桐谷健太さん名演でした。
菅田将暉さんの演技の幅がまたまた広がる、でも もはや驚くことでもない。

なんといっても本シネマは脚本勝ち、
演出の切れとともに長く僕の記憶に残るだろう。
原作とシネマのあいだには、高い山があり深い谷があることは十分承知したうえで、
《脚本勝ち》だった。

漫才の世界をディープにえぐった原作だが、
漫才のエッセンスを活字に託すのはしんどかった。
芥川賞小説その漫才素材ゆえに内面への思考がぼやけていた、
不可解な受賞だった。

そして本シネマ、
漫才の世界にいながら、つまるところ漫才芸の神髄に触れることはない(不満ではない)。
その代わり下積みで這いつくばる若者の赤裸々な願望と挫折が肌で感じられる(共振する)。
それでも漫才は言葉と振り、これこそはシネマの領域だったのかもしれない。

このシネマに芥川賞。



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