猿の惑星:創世記(ジェネシス) (2011)

文字数 910文字

【痞えが取れました ホッ】 2011/10/9



『汚らしい手で触るんじゃない、エテ公 !』

宇宙飛行士(チャールトン・ヘストン)と
異常な飼育係(トム・フェルトン)が300年の時を過ぎて同じ言葉を発する。
観客の僕の感情は、しかし、まったく逆さまだったのが可笑しかった。
40年余り前、高校3年の受験勉強に明け暮れる中でめぐり合った驚きのシネマで
僕は「この猿どもめ」と憤っていた。
そして今、本シネマで僕は「この人間どもめ」と哀しんでいた。

もしかして第1作「猿の惑星」の多くの亡霊が劇場に潜んでいたのかもしれない。
本作を第1作の前日譚と位置づけるのはやぶさかではないが、実は完結譚でもある、
ループはきっちりと閉じられた。

今となっては笑い話になるのだろうが、
あの田舎高校生の僕には驚愕のエンディングが信じられず(または大いに魅了されて)、
もう一度観ると違う結末になってはいまいか?・・・
と翌週 少ない小遣いの中もう一度映画館に確かめに行ったくらいだった。
その時以来、人類がどんな過ちを犯したのだろうかとテイラー飛行士同様、
いやそれ以上に悩んだものだった。

その意味からすれば本シネマは40年来の胸の奥の痞えを一掃した
爽やかな効果をもたらしてくれた。
今回のコンテンツが全て第1作在りきの設定であったのは,
トラウマ少年の成れの果てにはうれしいものだった。

●何よりもシネマ冒頭の猿狩りの恐怖は、当時ショックだった
「人間狩り」とシンクロしていた。
●檻に入れられる下等動物、反抗する動物は水攻めで懲らしめる。
●管理目的の皮の首紐の恐怖は人間にも猿にも屈辱以外の何者でもなかった。
●猿が喋ることが驚愕であったのと同じように、人間が喋れることは奇跡だった。
●確認できないままだったが、宇宙船発射のニュースがTVで流される
・・・もしかしてあの宇宙船にテイラー飛行士が搭乗してたのか?
●あれから300年後のもっどて来た地球が・・・・・・だったのか?
●サンフランシスコから飛び火したウイルスの第一の行き先はニューヨークだったのだ!

本シネマはエポックメイキングであった第1作を「鏡に映した世界」だった。
やはりこれは猿の惑星シリーズ完結編でしかなかった。

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