ファースト・マン (2018)

文字数 721文字

【幼子に捧げられたミッション 】 2019/2/9



本シネマの番宣コピーが云う・・・
「携帯電話もなかった時代に月に降りたった男」。
では、凧にでも乗って月面着陸したのかい?
いやいや、そんなジョークを言う雰囲気ではなかった。

1969年、今から50年前に月に足を踏み入れた最初の人間、
ニール・アームストロングの真面目な物語だった。

「携帯電話 云々」は逆説的なコピーとして僕は受け取った。
当時のNASA(アメリカ政府)の威信をかけたソ連との宇宙開発競争で培った技術が
今の携帯電話に結実している。
いまから思い返すと、それほどまでに米ソの国の威信をかけた争いはすさまじかった。

当然、そんな過度な開発競争には大きな犠牲が生じてくる。
本シネマのなかでも、アームストロングの仲間が9名事故死する件がある。

一方 アームストロングの心の奥底には夭折した娘カレンへの愛情と哀しみが
深く刻み込まれている。
「ファーストマン」としてのミッション、
アポロ11号船長として無事に月に降り立てるか、失敗して死を迎えるか?
本作のアームストロングが見せる「死」に対する冷静な姿勢、
ライアン・ゴズリング上質の演技作業だった。

アームストロングの妻ジャネットも夫以上の強靭な精神を持つ女丈夫、
先日拝見したリスベット(サランデル)のイメージすら彷彿させる
これまたクレア・フォイの名演技だった。

「ファーストマン」の見せ場、月面着陸と人類の第一歩は、
本シネマのクライマックスだけあって見ごたえがあった。
演技人の生真面目さと相まって、質の良い再現記録フィルムを見るかのよう、
感動する。

しかし最後に月面で執り行われるアームストロングの決別の儀式、
娘に捧げたミッションに 僕は一層胸を震わせてしまう。
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