線は、僕を描く (2022) 

文字数 510文字

【継承者たち】 2022/10/21


舞台の上で大きな紙に大きな筆を振るう、まるで踊るかのようなパフォーマーたち。
静の世界だと思っていた水墨画に、まるで色彩が灯ったかのような新鮮な衝撃だった。
むろんリアルで観た経験はなかった、シネマのおかげである。

静の世界に加えての古めかしさも流星さんの存在で払拭されたようで、シネマは静から動へ、旧から新への道筋をたどる。
と言って大層な仕掛けが用意されているわけではない、どちらかと言えばサクセスストーリー定番展開がわざとらしかった。
それでも老若男女みんなで鑑賞できる安心感は捨てがたいだろう。
近年の尖がることが命のようなシネマばかりではシネマファンも疲れるものだから。

心に深い傷を負った青年が、水墨画で自分を取り戻す。
厳しさと暖かさで指導する水墨画家元。
優しい兄弟子とスランプ状態にもがく家元の孫。
この4人の仮家族のきずなが本シネマのテーマであり、4人それぞれの復活がカタルシスにつながる。
確かに、定番以外の何物でもないが、こんな物語も今の鬱積した日本には心地いい。
日本にはこんな素晴らしい文化が継承されている、そして新たな若い継承者たちがいるのだから。
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